■ 未現像フィルムの保管と取り扱い
未現像フィルムは劣化しやすい製品であり、高温・多湿によりダメージを受けます。フィルムの感度、コントラスト、カラーバランス、カブリ濃度は製造後次第に劣化していきます。悪条件下での保管はこれらの劣化を増長します。劣化の影響は乳剤層に起こりますので、カラーフィルムの劣化は黒白フィルムに比してその影響が大きくなります。
KODAK 135フィルムは金属のパトローネ及びプラスチックのケースに、KODAK 120フィルムは遮光袋で包装され、汚染物質や温度・湿度による変化から保護されています。使用する直前までこれらの包装から取り出さないでください。
■ フィルムの使用期限
最善の結果を得るために、フィルムはパッケージに記されている消費期限内に使用してください。
■ 低温での保管
KODAK 一般用フィルムとレンズ付きフィルムは21℃以下で保管してください。ただし、日中太陽光に晒されている自動車の中や、夏の屋根裏部屋など非常に高温になる場所は避けて下さい。暖かい日に車で移動する場合は、クーラーバッグなどに入れて下さい。
KODAK PROFESSIONAL フィルムは製造時の包装状態で13℃以下で保管してください。
KODAK 黒白フィルムは24℃以下で保管してください。但し長期間保管する場合には、半年間なら16℃以下、一年間なら10℃以下での保管を推奨します。
■ 低湿度での保管
製造時の包装は湿度によるダメージからフィルムを保護しますが、相対湿度が60%を超えるような環境に長期間保管した場合は、紙製箱、ラベル、糊、金属にダメージが発生し、バクテリアや細菌が増加します。細菌の中にはフィルムのゼラチンを摂取することで乳剤を破壊するものもあります。
一般的に冷蔵庫や冷凍庫内の相対湿度は高いので、定期的に保管中の包装の劣化状態や細菌の増加を確認して下さい。除湿器などを使って相対湿度を50%以下に抑えることを推奨します。
■ 保管後使用時の注意
フィルム表面上の結露を防ぐためには、冷蔵庫や冷凍庫から取り出したあと、フィルム包装を開ける前に室温に戻してください。目安としては135フィルムで1.5時間(冷凍庫)から1.0時間(冷蔵庫)、120フィルムで1.0時間から0.5時間です。
■ 包装から取り出した後のフィルムの取り扱い
フィルムを包装から取り出したあとのフィルムの取り扱いの際には、高温・多湿、ケミカルの蒸発などによる汚染物質から受けるダメージには十分気をつけて下さい。
■ X線検査
X線は未現像のフィルムに対してカブリを生じさせます。空港などでのチェックイン荷物はCTスキャンされますので、未現像フィルム(カメラに装填したままのフィルムも同様です)を入れることは絶対に避けて下さい。最近の空港では手荷物もCTスキャンする場合があります(感度1600以下はカブリの心配はないと表示されていますが、X線は累積しますので、未撮影・撮影済を問わず、現像前に数回の乗り換えを余儀なくされる場合はリスクがあります)ので、可能な限り手持ちによる目視検査を依頼することを推奨します。
【注意】
現像後のフィルムでのカブリは起こりません。荷物検査場でのX線以外の検査ではカブリは起こりません。ボディスキャナーはラジオ波なのでカブリは起こりません。
郵便や宅配便もX線検査が行われる場合があります。もしも未現像フィルムが含まれている場合には、「未現像フィルムにつきX線検査を避けてください(Undeveloped Photographic Film. Do Not X-Ray.)」と書いたラベルを必ず貼り付けてください。
参考: Storage and Care of KODAK Photographic Materials Before and After Processing(英語)